上野動物園でアカガシラカラスバトの保全に思いを馳せる
基本情報
開園時間9時半〜17時
入園料 一般:600円、小学6年生まで無料、65歳以上300円、その他:https://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/hours.html
休園日:月曜日、12月29日〜翌年1月1日
私の個人的おすすめ動物はアカガシラカラスバトです。
アカガシラカラスバトは小笠原諸島に生息する日本固有亜種で、体は黒っぽく金属光沢があり頭部は赤みがかった色をしている美しいハトです。
国の天然記念物であり環境省第4次レッドリスト(絶滅危惧IA類)に指定されています。
絶滅の危険があり一時は約40~100羽ほどまで数を減らしてしまっていました。
その原因としては島の外から持ち込まれた植物による環境の変化、ヤギによる在来植物の食害、クマネズミと食物が重なることでの競合、そして人の持ち込んだ猫に由来するノネコによる捕食などが数を減らした原因と推測されています。
上野動物園では平成12年どから飼育されている個体を用いての繁殖に取り組んでおり、東京都の動物園においては2019年12月31日時点では約52羽(上野動物園+多摩動物公園)にまで増えています。
URL: https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/akagashirakarasubato.html
知育取り組み:
・なぜ遠い島の固有種を上野動物園や多摩動物園で増やそうとしているのかな?
→小笠原諸島も東京都だからだよ。日本地図で確認してみよう!
・なぜ島には固有種(その地域にしかいない動植物)が多いのかな?
→海によって他の大陸から動植物が渡ってくる手段が少ないからだよ。人間の船など人間の活動によって本来ならいないはずの動物が島に持ち込まれることで、もともと島にいた動植物の生存が追い込まれることがいろんな島で起きているよ。
さらに興味のあるお子様に…
わたくしも所属する東京都獣医師会では、2008年から小笠原自然環境保護活動を実施しています。ここではアカガシラカラスバトやその他の在来生物を捕食するノネコの保護活動や本土動物病院における飼い猫になるための健康管理と馴化をおこなっています。
・知育取り組み案
・ノネコも昔は野生動物だったのだから、そのまま島で自由に暮らしているほうがいいんじゃないの?
→猫は家畜に入る生き物だと。家畜は”繁殖が人の管理下にあって、野生の個体群から遺伝的に隔離されている生き物”と定義できるよ。
飼い猫の起源はリビアヤマネコだけど、人に飼われていく家庭でヨーロッパヤマネコやスナネコなど、様々な猫の遺伝子が混ざり合って今の飼い猫がいるよ。だから遺伝的には祖先である野生猫のどれとも遺伝的に完全に祖先の野生群と同一、といえるものはいないんだ。
さらにある地域の野生個体であっても、もともとその地域に住んでいた場所から他の地域に人の手で移動させるとそれも外来動物になるよ。外来生物はもといた動物を捕食したり、食物を競合したりする他にも交雑することによって遺伝子がまざりあう遺伝子汚染を起こす可能性もあるんだよ。
2016年1月までには約500頭のノネコが本土に到着し、新しい家族の元で暮らしています。ネコの捕獲が進むにつれて小笠原におけるアカガシラカラスバトの目撃数も増えており、本土の動物園でも繁殖活動が進められています。
しかしノネコの繁殖力は強く、捕獲を進めなければあっという間に増えてしまします。今後も活動が必要です。
お子様と東京都の固有種、アカガシラカラスバトとその保全を取り巻く関係団体などについて調べてみるのもおすすめです。
東京都獣医師会による小笠原自然環境保護活動についての概要:https://www.tvma.or.jp/news/2014/05/post-8.html
小笠原ノネコプロジェクト詳細URL:https://www.tvma.or.jp/activities/pdf/ogasawara_03.pdf
小笠原のノネコを飼ってみたい!という方はこちらの流れを参考にしてみてください。
東京都獣医師会URL: https://www.veterinary-adoption.com/search/ogasawara_flow.php
私自身飼っている猫が母島と父島出身のノネコですので、なにかご質問などあればお気軽にお聞きください。